初心者がDTMを始めると、ほぼ必ず次のような疑問を持つはずです。
- Busって何?
- AUXって何?
- センドって何を送っているの?
- Returnってどこに戻るの?
- Insertとの違いは?
実はこれらは別々の機能ではなく、一連の信号の流れを表す言葉なのです。
まずは全体像を俯瞰してみましょう!
Audio Track
│
├──────────→ Master
│
│
└─ Send
│
Bus
│
AUX Track
│
Reverb
│
Return
│
Master
Send:音を送り出す、Bus:音が通る道路、AUX:受け取る場所、Return:処理した音をミックスへ戻す のような感じでしょうか。
それではここからはそれぞれを詳しく見ていこうと思います!!
この記事で分かること
- センド・リターンとは何か
- バスとは何か
- AUXトラックとは何か
- Insertとの違い
- DAW内部の信号の流れ
- なぜリバーブはセンドなのか
- 数学的な考え方
- 初心者がよくやる失敗

目次
- センド・リターンとは?
- バス(Bus)とは?
- AUX(Auxiliary)トラックとは?
- Sendとは?
- Returnとは?
- Insertとの違い
- 初心者が混乱しやすいポイント
- Pre FaderとPost Faderの違い
- 数学的に考えるセンド・リターン
- Logic Proでの設定手順
- よくある失敗
- まとめ
センド・リターンとは?
センド・リターンとは、元の音を残したまま、そのコピーを別のトラックへ送り、エフェクト処理を行う仕組みです。
例えば、ボーカルトラックにリバーブをかける場合、
Vocal
├─ Dry(そのまま)
└─ Send → Reverb → Return
という流れで元の音にリバーブがかかることになります。
つまり、センドリターンをするメリットは原音(Dry)とエフェクト音(Wet)を別々に扱えるということなのです!
バス(Bus)とは?
Busとは音声信号を別の場所へ運ぶための仮想ケーブルです。
実際にはケーブルは存在しませんが、DAWの内部ではこのような配線が組まれています。
例えば、
Vocal
│
Bus1
│
Reverb
これは「ボーカルの音をBus1という配線へ流してください」という意味になります。
Bus自体には何か特殊な音を変える機能はありません。
現実的に例えるなら、道路のような存在でしょうか。
例えば、道路は「東京→高速道路→大阪」のように人や荷物を運びますよね?
Busも同じです。「ボーカル→Bus→AUX」というように音を運ぶだけです。
現実のスタジオで言えば、下記のように複数の機材を接続する配線に近い役割を果たしていると言えるでしょう。
Vocal ─┐
Guitar ├── Bus 1
Piano ─┘
このように複数のトラックを1つのバスへまとめることができます。
AUXトラックとは?
AUX(Auxiliary)トラックは、Busから送られてきた信号を受け取り、エフェクト処理を行うためのトラックです。
Busの終点になります。
現実世界で例えるならBus = 配管、AUX = 部屋でしょうか。
Busを通ってきた音はAUXで初めて、リバーブ、ディレイ、コーラスなどの処理を受けます。
例えば、「Bus1→AUX1→Reverb」というような流れです。
ちなみに、Logic ProではBusを作ると自動的にAUXトラックが生成されます。
「Bus(通路)を作ったんだからもうエフェクトかける(部屋に住む)ってことだよね?」みたいにLogicくんが気を利かせてくれている感じですね(笑)

Sendとは?
Sendは元の音をコピーしてBusへ送る機能です。
ここがInsertとの最大の違いになります。
例えば、ボーカルがあって、その音量を100とします。
Insertの場合、「100→Reverb→100」となって、元の音そのものがリバーブへ入ります。
つまり、「Dryだけ」という状態は存在しません。
一方、Sendでは100という音が
100
├──→ Master
└──→ Reverb
となって、マスターとリバーブの両方に送られます。
つまり、音をコピーしているのです!
これが両者の大きな違いです。
Returnとは?
リバーブ処理された音は最後にMasterへ戻ります。
これをReturnと呼びます。
つまり「Dry→Master」+「Wet→Master」となるわけですね。
最終的にはマスターに入ったDry + Wetの音が我々の耳には聞こえています。
数学的に考える
入力信号をx(t)とします。
リバーブをR(x)、センド量をαとすると、出力はy(t)=x(t)+αR(x(t))と書けます。
「元の音(Dry)にリバーブをかけてセンドの割合だけ足したもの」という意味ですね。
例えば、入力信号が100、リバーブがかかった信号が40の時、原音100%、リバーブ20%の場合、100+40=140という単純な足し算ではなく、100+0.2×40(リバーブがかかった音)=108 となって私たちの耳には聞こえてくるわけですね!
リバーブ音は時間的・周波数的に異なるため、単純な音量の足し算ではなく、元の波形に残響成分が重なって知覚されるというイメージです。


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Insertとの違い
例えば、EQをインサートすることを考えます。
ボーカルに直接EQをインサートする時、「Vocal→EQ→Master」という信号の流れになりますよね。
これは途中で必ずEQを通ります。
つまり、「元の音→EQで音が変化→Master」になります。
一方、BusでEQを適用する場合、「Vocal→→→Master」と「Vocal→Bus→EQ→Master」という二種類の信号の流れが存在することになります!
なぜリバーブはInsertではなくSendなの?
例えば、歌、ギター、ピアノの3トラックがあるとします。
Insertなら、「Vocal→Reverb①」「Guitar→Reverb②」「Piano→Reverb③」
となって、同じリバーブを3回計算することになります。よって、CPU負荷も約3倍になります。
もちろん①〜③のリバーブをそれぞれ別々の設定でかけたいとなれば、インサートしても良いですが、負荷が大きなるので、PCスペックと相談する必要があります。
Sendなら以下の図のようになって、
Vocal ─ ┐
│
Guitar ─┼─BusーReverb
│
Piano ─ ┘
必要なリバーブは1個だけです!
全員が同じ部屋で演奏しているような自然な空間になります。
具体例① ボーカルだけリバーブを多くしたい
ボーカルだけリバーブを大きくしたい場合は、例えば、
Vocal、Send20%
Piano、Send5%
Guitar、Send10%
のようにすれば調整できます。
同じリバーブでも送る量だけ変えられるのが、センド最大のメリットです。
具体例② ライブ会場を再現する
バンド演奏ではすべての楽器同じホールにいますよね。
これは全員が同じリバーブを共有しているということです。
現実世界でも同じ部屋なら同じ反射になるはずですよね?
そのため、センドリターンを使う方がリアルになるのです。
リバーブについてはこちらの記事で詳しく解説していますので併せてお読みいただけると理解度アップです!↓

具体例③ ディレイの最後だけ残す
よくあるテクニックですが、
君の名前を──
名前を…
…
…
とディレイが残りるやつありますよね!
これはボーカルをBusへ送り最後だけSend量をオートメーションで上げています。
最近のプラグインのほとんどはMixのパラメータが付いているので、InsertしてMixのオートメーションを書いても同じことはできなくないのですが、Busを使えば、適用したいもの全体に同様の効果を与えることができますね!
ディレイについてはこちらの記事で詳しく解説していますのでこちらも併せてご覧ください↓


初心者が混乱しやすいポイント
多くの初心者の方はBus、AUX、Send、Returnを別々の機能だと思うかもしれません。
しかし実際は、「Send(送り口)→Bus(通路)→AUX(受け取り口)→エフェクト処理→Return(ミックスへ戻る)」という1本の信号経路を構成する要素です。
この流れを理解できると、リバーブやディレイだけでなく、パラレルコンプレッションや複数トラックのグループ処理など、ミックスの幅が一気に広がります。
| Insert | Send / Return | |
| 信号 | 元の信号を直接処理 | 信号をコピーして処理 |
| Dry音 | エフェクト後の信号のみ | DryとWetを独立して調整可能 |
| 用途 | EQ・コンプ・サチュレーション | リバーブ・ディレイ・コーラスなど |
| CPU負荷 | トラックごとに処理 | 複数トラックで共有可能 |
Pre FaderとPost Fader
プリフェーダー(Pre-Fader)
プリフェーダーでは信号の流れは例えば、
入力
↓
EQ・Comp
↓
├──→ センド(Reverbなど)
↓
フェーダー
↓
マスター
のように、センドがフェーダーより前から分岐します。
つまり、フェーダーを下げてもセンド量は変わりません。
例えば、ボーカルにリバーブを送っているとしますよね?
ボーカルフェーダー:−∞ dB、リバーブセンド:0 dBとすると
直接音は0%、リバーブは100%となって、リバーブだけが残るという状態になります。
プリフェーダーは主にヘッドホンモニター、イヤモニ、Cue Mix、ライブ現場で使われます。
例えば、歌手が「自分の声をもっと大きく聴きたい」と思っても、PA卓の客席音量は基本的に変えたくありません。
そこで、プリフェーダーなら客席はボーカル:0 dB、歌手のイヤモニにはボーカル:+6 dBということができます。
ポストフェーダー(Post-Fader)
ポストフェーダーでは信号の流れは例えば、
入力
↓
EQ・Comp
↓
フェーダー
↓
├──→ センド
↓
マスター
のようにフェーダーの後から分岐します。
つまり、フェーダーを下げるとセンドも一緒に下がるのです。
例えば、ボーカルでフェーダーが0 dB、リバーブが20%なら、ボーカルは100%、リバーブは20%になります。
フェーダーを−6 dBにするとボーカル50%、リバーブも約50%になります。
直接音とリバーブのバランスが変わらないということですね!

Logic Proでの設定手順
LogicProでのBusトラックのまとめ方をご紹介します。
- トラックの「Send」をクリック
- 空いているBusを選択
- 自動生成されたAUXトラックを確認
- AUXへリバーブを挿入
- リバーブのMixは100% Wetに設定
- センドノブでエフェクト量を調整
これだけです!Logicはとても簡単センドリターンができてしまうので、初心者に優しいですね!


よくある失敗
センドリターンを覚えたてでよくやってしまうのが、以下の失敗です。
- AUXのリバーブを100% Wetにしていない
Dry音が二重になり、位相や音量バランスに影響することがあります。 - InsertとSendを混同する
ダイナミクス系と空間系では使い分けを意識しましょう。 - センド量を上げすぎる
ミックス全体がぼやけ、奥行きが不自然になる原因になります。
基本的にEQやコンプなどのダイナミクスをいじる系のプラグインはインサートで挿します。それぞれの音のダイナミクスは個別に違うからですね!リバーブは一体感がほしいため、センドリターンでかけるという感じです。ただし、バスコンプなるものもあるので一概には言えませんが。。。
まとめ
センドリターンは同じエフェクト効果をCPU負荷を大きくするうことなく、まとめて適用したいときに役に立つことが分かりましたね!他にもライブ会場でのポストフェーダーやプリフェーダーなどにも関係しているのでした!
これらの知識が1繋がりになってくると、他の方のブログや動画を見たときにも用語が理解できるようになり、習熟スピードがアップすること間違いなしです!
下記の記事も併せてお読みいただけると、音への理解が深まるはずです。



