「音量を-1dBTPにしたのに、他の曲より小さく聞こえる……」
そんな経験はありませんか?
その原因はピーク(dB)ではなくLUFS(ラウドネス)で音量が決まっているからです。
この記事では
- LUFSとは何か
- dBとの違い
- SpotifyやYouTubeでの扱われ方
- ミックス・マスタリングでどのくらいを目指すべきか
を初心者向けに、できるだけわかりやすく解説していきます!
目次
- LUFSとは
- なぜLUFSが重要なのか
- dBFSとの違い
- True Peakとの関係
- Spotify・YouTubeなど各サービスの基準
- 実際のマスタリング手順
- よくある質問
- まとめ
LUFSとは
LUFS(Loudness Units Full Scale)は「人間が感じる”音の大きさ”を数値化した単位」です。
例えば、「曲Aピーク -1dB、曲Bピーク -1dB」という場合でも曲Aの方が圧縮されているとLUFSは
- 曲A:-8 LUFS
- 曲B:-14 LUFS
となり、曲Aの方が「大きく聞こえる」ことになります。
LUFSは、「音のエネルギー」をそのまま測るのではなく、人間の耳がどのように音量を感じるかを考慮して計算されるラウドネス指標(うるささの目安)なので、数学的には、ITU-R BS.1770という国際規格に基づいて計算されます!
LUFSの計算の流れ
では、LUFSはどうやって算出されるのでしょうか?
大まかにいうと「入力音声→① K-weightingフィルター→② 各チャンネルの平均エネルギーを求める→③ チャンネルごとの重み付け→④ 全チャンネルを合計→⑤ 対数(log10)を取る→LUFS」という過程を経ています。
ここからわかる通り、LUFS =「耳に近い形へ補正した平均エネルギー」です。
① K-weighting
実は人間の耳は50Hz、1000Hz、10000Hzを同じようには聞いていません。
例えば、100Hzのサイン波、1000Hzのサイン波が物理的に同じエネルギー量であっても、1000Hzの方が「大きく聞こえる」ことがあります。これではエネルギーによる音の大小比較ができません!
そのため、まずK-weightingフィルターを通します。
これは「超低域を少し減らし、高域を少し強調する」というフィルターです。
物理的には二つのIIRフィルター、High-pass FilterとHigh-frequency Shelf Filterを直列につないだものです。
② RMSのような平均エネルギーを求める
音声信号をx(t)とすると、一定時間の平均エネルギーは E=1/T∫(0≦x≦T)x(t)^2dt になります。
デジタルでは、E=1/N ∑(1≦n≦N)x[n]^2 です(離散的になるため積分からシグマになります)。
つまり、波形をまず二乗します。
「なんで2乗して足し合わせるねん!」と思われるかもしれませんが、これは音声信号の正負が打ち消し合わないためです。
例えば、波形が「+1、-1、+1、-1」の場合、これらを平均すると0になってしまいます。。。
しかし、それぞれを二乗すれば、「1、1、1、1」となり平均が0になることはありませんね!これでエネルギーが測れます。
③ マルチチャンネルの重み付け
5.1chなら全部同じ重みではありません。
ITU-R BS.1770(国際規格)では、例えば、Front Left、Front Right、Center、Surroundなどに重みが決まっています。
ステレオならほぼ左右をそのまま平均します。
④ エネルギーを合計
各チャンネルのエネルギーをそれぞれE_L ,E_R ,E_C …とすると、
総エネルギーは、E_total =∑(i) g_i E_i、となります。
ここで、giが各チャンネルに対する重み付けです。
⑤ 対数を取る
人間は音量を線形(綺麗な比例関係)では感じません。
例えば、音のエネルギーが2倍になっても。その音を「2倍大きい」とは感じません。
そこで、dB(デシベル)同様、対数を使います。
LUFSは概ねL=−0.691+10log10 (E)で計算されます。
ここで、-0.691はITU-R BS.1770で決められている補正値です。
なぜlogを使うの?
例えば、エネルギーの感じる大きさが以下の表のような対応関係にあったとします。
| E | 感じる大きさ |
| 1 | 普通 |
| 10 | 少し大きい |
| 100 | かなり大きい |
| 1000 | とても大きい |
これをそのまま扱うと数字が大きくなりすぎてしまいます。。。
そこで、対数を使えば、
| E | LUFS計算 |
| 1 | 0 |
| 10 | 10 |
| 100 | 20 |
| 1000 | 30 |
となり、数字での扱いが容易くなります。
Integrated LUFS
Integratedとは曲全体の平均LUFSのことです。
例えば、Aメロ-20 LUFS、サビ-8 LUFS、イントロ-30 LUFSの場合、全部を平均した結果のIntegratedは、大体−13.4LUFSになります。
Short-Term LUFS
Short-Termは約3秒ごとの平均LUFSのことです。
数式は同じですが窓(Window)が3秒になります。
E(t)=1/T∫(t−T≦τ≦t)x^2(τ)dτ
ここで、T=3秒としたのが、Short-Termです。
Momentary LUFS
Momentaryは約400msごとの平均LUFSです。
先ほどの式でT=0.4秒の場合ですね。瞬間的な音量を見るために使います。
ゲーティング(LUFSがRMSと違う最大の理由)
LUFSでは、無音や非常に小さい音をそのまま平均に含めません。これをゲーティングと呼びます。
計算では、まず曲全体のおおよそのラウドネスを求め、その値より極端に小さい区間(相対ゲート)や、絶対的に非常に小さい区間(絶対ゲート)は平均計算から除外します。
例えば、「イントロ(ほぼ無音)→静かなAメロ→サビ」
という曲で、無音部分まで平均すると曲全体のLUFSが実際の聴感より低くなってしまいます。
そのため、LUFSは「聴こえている音」に近い部分を中心に平均を取る仕組みになっています。

なぜLUFSが重要なのか?
昔は、「ピークが大きい=音量が大きい」と思われていました。
しかし、現在はSpotify、Apple Music、YouTubeなどがLUFSを基準に音量を自動調整しています。
そのため、無理に音圧競争をしても再生時には音量が下げられてしまいます。
3. dBFSとの違い
LUFSに似ている単語で、dBFSという概念があります。両者の違いは以下の表の通りです。
| dBFS | LUFS |
| 最大ピーク | 聴感上の音量 |
| 一瞬の大きさ | 曲全体の平均音量 |
| クリップ防止 | ラウドネス管理 |
dBFSの方は物理的にピーク値がどうなっているのかを測定する、ピークの大きさを表す単位ということですね!

5. True Peakとの関係
よくある誤解ですが、マスター管理はLUFSだけ見ればOKというわけではありません。
実際は、LUFSとTrue Peakの両方を見る必要があります。
例えば、-8 LUFSでも+0.5dBTPなら配信時に歪む可能性があります。
6. 配信サービスの基準
それぞれの配信サービス毎に基準としているLUFSが異なります。これは今後子変化していく可能性があるのでとりあえず現段階(2026年7月時点)での目安を表にまとめておきます。
| サービス | 目安 |
| Spotify | -14 LUFS |
| YouTube | 約-14 LUFS |
| Apple Music | 約-16 LUFS |
| Amazon Music | 約-14 LUFS |

※サービス側のラウドネスノーマライゼーション設定や仕様変更により実際の動作は変わることがあります。
7. 実際のマスタリング
初心者向けに目安となるおすすめ手順をご紹介します!ただし、必ずしもこれで正解というわけではありませんので、そこはご自身の耳と、お手持ちのアナライザーで調整してみてください。
EQ→Compressor→Saturation→Clipper→Limiter→LUFS測定
この手順の最後にIntegrated LUFSとTrue Peakを確認します。
8. よくある質問
Q:Spotifyなら-14LUFSに合わせればいい?
A:必ずしもそうではありません。ジャンルや作品の表現によっては、それよりラウドなマスターやダイナミックなマスターが適している場合もあります。重要なのは配信後の音量だけでなく、音質やダイナミクスとのバランスです。
Q:LUFSが低いほど音質はいい?
A:違います。ラウドネスは「音量(うるささ)」であって音質とは別です。
Q:Ozoneでも測れる?
A:はい。Ozone 11付属の Loudness Meterなどで確認できます。
まとめ
LUFSは「人が感じる音量」を表す指標であり、現代の配信サービスでは非常に重要です。
- LUFSは聴感上の音量を表す
- dBFSやTrue Peakとは役割が異なる
- マスタリングではLUFSとTrue Peakをセットで確認することが大切
まとめると以上のようなことが言えますね!配信時代の現代でよりよく聞かせられるようにするためにも、この辺りの知識を押さえて、自分で色々とマスタリングチェーンを試してみましょう!筆者も一緒に修行していきたいと思います!

